アレルギーの原因は、免疫バランスの乱れにより生じていることをご存知ですか?
もしくは、その免疫バランスが日々の生活習慣により変動してしまうことをご存知ですか?
さらには腸内環境を改善すると、これらの免疫システムの異常を改善することが可能であることを知っている人はほとんどいないのではないでしょうか!
ここでは、免疫システムの異常の原因やそれを改善するための、腸内環境の大切さについて紹介していきます。
目次
アレルギーの原因は免疫バランスの乱れ
アレルギー症状については、ヒトの体の中に存在している「免疫システム」が大きくかかわっています。
「【アトピー性皮膚炎改善には乳酸菌】親がアトピー体質なら乳酸菌で改善が必要!?」の記事でも紹介したようにこれがわかってきたのもごく最近のことなんです。
免疫システムとは
免疫とは、体をウイルスや細菌などの病原体からまもる防衛システムのようなものです。
そうです。体内に侵入してきた病原体は、マクロファージという細胞が発見し、ヘルパーT細胞に報告をします。
そのヘルパーT細胞は、病原体を殺すのが得意な細胞や、抗体をつくるのが得意な細胞など、さまざまな細胞に司令をだして病原体を攻撃しているのです。
偉いかどうかは別として、免疫システムはこのヘルパーT細胞によって成り立っています。
免疫システムには
- Th1細胞
- Th2細胞
- Tレグ細胞
という3種類のヘルパーT細胞の司令がバランスよく機能することで成り立っています。
<ヘルパーT細胞の働き>
Th1細胞 | ウイルスや病原菌を攻撃する働き |
Th2細胞 | 花粉やホコリなどのアレルゲンに対して攻撃 |
Tレグ細胞 | T細胞のバランスを調整する |
Th1細胞は、体のさまざまな組織に分布していて、血液やリンパ液にのって全身をパトロールしています。
そして、ひとたび病原体が体のなかに入ってくると
Th1細胞は病原体を「敵だ」とみなして、B細胞に
- IgA抗体
- IgG抗体
- IgM抗体
などの抗体をつくらせて病原体を攻撃し、破壊してくれます。
このとき同時に、体には発熱や痛みなどが起こります。
このような免疫システムを利用した治療法は、ヒトの体の身近なところに数多くあります。
予防接種も免疫システムによる解決例
たとえば、「インフルエンザ」や「はしか」などの予防接種はよく知られています。
予防接種では微量の病原体を注射し、体の中にとりこむことで、体内の免疫細胞に排除すべき外敵の情報を覚えこませます。
するとその病原体が次に体内に入ってきたとき、免疫は「敵」と判断し、すみやかに攻撃して排除するのです。
免疫システムが崩れると・・・
このように病原体から体を守る強い味方の免疫システムですが、バランスが崩れるとTh1細胞系がうまく働いてくれません。
その代わりに、「Th2(2型ヘルパー)細胞」が働き、本来攻撃する対象ではない花粉やホコリ、食べものなどの「アレルゲン」を「敵だ」と勘違いしてしまいます。
そして、病原体と戦う抗体とは別の「IgE抗体」をつくらせて、攻撃するような指令をだしてしまうのです。
このIgE抗体は、ヒスタミンという化学物質と連携してアレルゲンを攻撃します。
これらがつらいアレルギーの原因になってしまうのです。
ヒスタミンは肺や消化管の
- 筋肉
- 神経
- 血管
を刺激する作用をもつため、
- くしゃみ
- かゆみ
- 炎症
- 涙
- 発疹など
の諸症状をひきおこします。
これらの症状のことをアレルギーと呼んでいるのです。
免疫異常をひきおこす様々な原因
そうですね。でも、どんなことをしたらいけないのかを知っておけば、未然に免疫システムの異常をふせぐことができます。
乱れた食生活は禁物
免疫システムの異常が発生する原因は、さまざまです。
たとえば、乱れた食生活
- 食べすぎ
- 極端なダイエット
- 高脂肪・高カロリーの食事など
がつづくと腸内環境が急激に悪化して
- 便秘
- 下痢
になりやすくなり、免疫力も低下します。
とくに砂糖と油のとりすぎは、体に大きな負担をあたえてしまいます。
乱れた生活習慣も、もちろんアウト!
生活習慣も免疫と密接なかかわりがあります。
- 睡眠不足
- 不規則な生活
- 運動不足
- ストレス
によって、自律神経のバランスが乱れ、免疫細胞が機能しなくなります。
また、病院で処方される抗生物質にも注意が必要です。
抗生物質を多用すると、悪い細菌だけでなく体に必要な細菌まで殺してしまい、免疫力を下げる一因となります。
とくに長期にわたって抗生物質を投与しつづけると、抗生物質に耐えて生き残った病原体が「耐性菌」に変化し、体中で増殖をはじめます。
そのため、より強い抗生物質でないと効かなくなってしまうこともあるのです。
さらに有害物質もアレルギーにはよくなく
- カビ
- ダニ
- ホコリ
- 大気汚染による有害物質など
が過度に多い環境も、体内に雑菌や細菌がとりこまれやすく、
- 免疫力低下
- アレルギー発症
の原因になります。
加齢は防げない免疫力低下の原因
生活習慣や食生活に気をつけていても避けられないのが、加齢による免疫力低下です。
誰でも年をとるにつれて、体内のさまざまな臓器が萎縮し、機能低下がおこります。
そのため、どうしても体内の免疫細胞の働きが減少してしまいます。
このように、さまざまな要素が複雑に絡みあうことで免疫システムの異常がひきおこされてしまいます。
最後に免疫システムの異常の原因となるものをまとめましたのでよく覚えておいてください。
免疫システム異常の原因となるもの<まとめ>
①食生活の乱れ
- ついつい食べすぎてしまう
- 過度なダイエットをしている
- 高脂肪・高カロリーをしている
- 夜遅くに食事をしたり、食事を抜くこともある
②環境要因
・公害による環境悪化、化学物質の増加など
③運動不足
④生活リズムの乱れ
- 睡眠不足
- 夜寝るのが遅い
⑤ストレスが多い
⑥抗生物質をよく飲む
⑦腸内細菌の乱れ
免疫と密接につながっている「腸」
ここからは、「腸」の秘めている免疫に対する貢献度を1つずつ紹介していきます。
腸には免疫細胞の60〜70%が集中している!
バランスが崩れた免疫システムを改善するためには、生活環境や食生活を見直すことが大切ですが、こうした生活習慣を変えていくことはなかなかできるものじゃありませんよね。
また、たとえできたとしてもアレルギー症状はすぐによくなるものではなく、加齢による衰えにはあらがいようがありません。
しかし、免疫システムのバランスを劇的に改善するいい方法があります。
それこそが、腸内環境を整えることなんです。
近年、免疫システムには「腸」が大きく関わっていることがわかってきました。
腸は
- 食べものの消化吸収
- 便の排泄
を行うための器官です。
口にいれた食べものは、食道をとおって胃に運ばれ、胃酸によってドロドロに消化されたあと、小腸に運ばれて、栄養分を吸収されていきます。
この小腸の大きさはかなり大きいの知っていますか?
- 長さは成人では5〜7m
- 広げてしまえば、面積はテニスコート1面分くらい
もなり、24時間休みなく動きつづけています。
さらに小腸は
- 十二指腸
- 空腸
- 回腸
にわかれています。
小腸の消化・吸収のシステム
十二指腸では肝臓と膵臓の消化液がながれこみ、胃で消化しきれなかった食べものの消化を助けます。
小腸の腸粘膜の表面からも消化酵素が分泌され、食べものはアミノ酸やブドウ糖、脂肪酸などに分解されていきます。
小腸の腸粘膜には多数のヒダがあり、ヒダの表面には長さ1mm弱の小さな「絨毛」という突起がびっしりとついています。
消化酵素によってドロドロになった食べものは腸の収縮・弛緩によって移動しながら、絨毛から栄養分を吸収されていきます。
小腸で吸収された栄養はその大半が肝臓に運ばれ、肝臓から心臓を経由して、血流に乗って全身へと運ばれます。
一方、栄養分が消化吸収された残りカスは大腸に運ばれ、腸内細菌による発酵・分解がすすみ、最終的に便になって排出されます。
パイエル板で細菌やウイルスをブロック!
運ばれてくる食べものにはさまざまなウイルスや細菌が付着しているので、腸のなかは、数多くのウイルスや菌にさらされています。
つまり、腸はこうした有害物質を体内に吸収してしまいやすい場所ともいえるのです。
そのため、腸には体にある免疫細胞の60〜70%が集まっています。
有害な物質が腸から体内に吸収されてしまわないように、腸内では免疫細胞が、24時間365日休みなく、有害な細菌やウイルスをブロックして守ってくれているのです。
腸内の、特に免疫細胞が多く集まっている場所を「パイエル板」(免疫細胞をつかさどる器官)といいます。
パイエル板は小腸の内側にあり、絨毛が少なく平らになっている部分です。
腸に病原体が入ってくると、パイエル板の表面にある粘液でおおわれた細胞が反応し、病原体をパイエル板のなかに取り込んで、免疫細胞に引き渡してやっつけてくれます。
さらにパイエル板は、病原体をブロックする抗体を多くつくりだす場所でもあります。
このパイエル板は腸内に多数存在しており、まさに腸は免疫システムの集合体なのです。
そうなんです。
つまりは、腸内環境をととのえておくことで、ウイルス、細菌、病原体から、体をまもれるようになるので、結果的にアレルギー症状もおさえることができるのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
アレルギー症状をおさえることは簡単なことではありませんが、ここで話したように腸内環境をととのえることで免疫システムをしっかり作動させることで緩和することが可能です。
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